◆真昼の月◆

ヘルパーのお仕事、職人仕込みのレシピなどを綴ります。

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お中元の季節だ。
97歳で独り暮らしのT子さんのお宅へ1本の電話がかかってきた。

「○○水産です。先日お子さんからお中元の注文を給わったのですが、その時、ご実家にも送って欲しいとのことでしたので、お送りします。ご住所をお知らせください」

T子さんの次男は、北海道に赴任していたことがあり、お中元やお歳暮にはよく北海道のものを利用していたので、T子さんは業者に自宅の住所を告げた。
「それでは、19日の夜に到着するように配送いたします。着払いとなっておりますので、送料などは配送員にお支払いください」
T子さんは「わかりました」と電話を切り、それからふっと考えた。

送料は私が払うの?
あれ? 『送料など』って言っていたっけ?

そう、この電話で、T子さんはタラバガニと送料の両方とも支払うことに同意してしまったのだ。
何度思い出してみても、カニの値段も聞いていない。業者の連絡先も聞いていない。
よく考えてみれば、『お子さん』と言っていたが、次男の名前も出さなかったではないか。
不安になって、次男に電話をしてみると「そんなのは注文していない」とのこと。

サギだ!
このままでは19日にタラバガニが届き、料金を支払わなくてはならなくなる!

次男からの連絡で、近くに住む長男がやって来た。
長男は消費者センターや近所の交番などに連絡して、対応を問い合わせ、19日の夜はT子さんの家に泊まることに決めた。

19日。
大手配送会社から電話がかかってきた。
「北海道から冷蔵便の着払い品が届いています。夜8時頃に伺いますので、料金1万4千円をご用意ください」
消費者センターから教えられたとおりにT子さんは応える。
「私はその荷物を頼んでいません。受け取りは拒否します。送り返してください」

それで終了。

この電話が、本当に大手配送会社からのものだったのかどうかわからないが、それっきり何の連絡もなかった。

「怖い世の中になったねぇ。何にも信用しちゃいけないんだよ? 耳が遠いから聞き取りにくいし、電話に出るのもおっかないねぇ。オレオレ詐欺には気をつけていたんだけどねぇ……」
T子さんは、残念そうに肩をすくめた。
あれ以来、交番のおまわりさんが巡回してきてくれている。
T子さんが病院などに行っていて留守の時は、郵便受けに「○時、××交番の△△が訪問しました」とメモが入っている。
「でもね、おまわりさんも来てくれるし、ヘルパーさんも来てくれる。すぐに相談できる人がいるっていうのは、心強いよ」

97歳。まだまだしっかりしたT子さんは、入れ歯をカタカタいわせながら、あっはっは、と笑った。
















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