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◆真昼の月◆

ヘルパーのお仕事、職人仕込みのレシピなどを綴ります。

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旅先の、とある港町を歩いていた時のこと。

向こうからシルバーカーを押してきたおばあさんに「あのー、奥さん」と、声をかけられた。
見ず知らずの人に声をかけられて、なんだろうと思っていると
「500円、貸してもらえませんか」なんて言われた。

「は?」

聞けばそのおばあさんは、買い物に行く途中なのだという。
道程の半分まで来て、財布を忘れたことに気がついた。
だが、ここから家まで財布を取りに戻り、ふたたび買い物に出るだけの元気がない。
昼食と夕食、せめてパン2~3個でよいので買いに行きたい。
必ず返すから、500円貸して欲しいということだった。

おばあさんは一人暮らしなのだが、毎朝息子さんが、仕事に行く前に立ち寄るのだそうだ。
「息子に話して、奥さんのところまでお礼に行き、お金は返すから、500円貸してくれませんか」

話をしていると、認知症があるとも思えない。
雨が降りはじめ、傘も合羽も持たないおばあさんは、だんだん濡れていく。
私は、500円をおばあさんにあげようと決めた。
「お母さん(ヘルパーは決して『おじいちゃん、おばあちゃん』とは呼びません)、私の家は遠いから、この500円は返さなくてもいいです。どうぞ」
しわだらけの手に渡した500円玉を握り、おばあさんが「いいえ、必ず返します。おところを教えてください」と頭を下げる。
「本当に遠いんです。だから返さなくても構いません」何度かそう答えたのだが、おばあさんは「そんなわけにはいかない」と住所を知りたがる。
仕方なく住所を告げると、おばあさんはびっくりして
「そりゃあ、東京の方け? そりゃあ、あかん。そんな所までは、いくら息子に頼んでも返しには行けんが――」
それから、500円玉を私の手に返すと
「奥さんから借りるわけにはいきません。返せないお金を借りたら、息子にも叱られてしまう」
でも、奥さん、ありがとうね。年寄りに貸してくださる気持ちになってもらって。

なんとしっかりしたおばあさんなのだろう。
でも、お金がなかったら、今日の食事をどうするつもりなんだろう。
「でもお母さん、お金がないと、食べ物が買えないんでしょう? どうするの?」
「そしたら、途中の駐在さんに相談してみます。駐在さんが貸してくれたら、返しにいくのも楽だから」

おばあさんは丁寧に頭を下げて歩いて行った。
どうやらご近所の奥さんと私を見間違えたらしいのだが、はたして駐在さんはお金を貸してくれただろうか。
80歳は過ぎていただろうと思う。
田舎の、律儀なおばあさん。
お元気に、今日も買い物に出かけているだろうか。


心温まるお話ありがとうございます♪
心温まるお話をありがとうございます♪
ヘルパーは決して『おじいちゃん、おばあちゃん』とは呼びません
→そうでしたか。存じませんでした。
ただ、このお話を予め読んでいたからなのか定かではありませんが・・・、本日、私の外来に7年前に私が手術(急性脳梗塞に対する浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス術)を担当した患者さんのご家族がご挨拶におこしになられました。患者さんご本人は手術後、私の外来に定期的に通院されていたのですが、過日、内臓疾患がため、他界されたとのことです。
ご丁寧にご主人のご報告をしてくださった奥様も常時ご主人と一緒に私の診察室に付き添ってこられたものです。
最初の左片麻痺が出現した時のお話から手術後のお話を懐かしく数分いたした次第ですが、お話される間に奥様の目が潤んで涙かこぼれそうになった時、私の口から自然と発せられた言葉は『“お父さん”の変わりありませんと答えられる際の笑顔がとても素敵でしたね』の一言でした。
いまだかつて、doctorになってから患者さんに対して“お父さん”とお呼びしたことは一度もありませんが(患者さんを診察室へお呼びする際には○○さんとお呼びすることが多いです)、何故か新鮮な気持ちでした。
果たして、この場合の呼び方が、「お母さん、私の家は遠いから、この500円は返さなくてもいいです。どうぞ」と申された、かずよんさんのお気持ちに通じるものなのかはわかりませんが、素直に言葉にできた後の心安らぐ感じはなかなか良いものだと体感しました。
宜しければヘルパーの方々が何故、“お母さん”とお呼びになるのか教えていただけますと幸いです。勉強不足で申し訳ありませんが、人との繋がりはこんなところから育まれるものと思いますので。
私たちが忙しさの中でゆとりを失い、相手を思いやる気持ちが日々少なくなる今日この頃、人と人との関係性を維持する上では根本的なことだと気付かせていただきありがとうございました♪
sansako(s-ドクター)

2010.06.25 19:34 URL | sansako(s-ドクター) #- [ 編集 ]















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