◆真昼の月◆

ヘルパーのお仕事、職人仕込みのレシピなどを綴ります。

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「私8人姉妹なんだけど、死んだ姉が夢に出てきて、『今度あなたを迎えに行く』って言うのよ」
だから今度はもう、戻って来られないかもしれない――

U子さんの言葉に、私はすぐに突っ込んだ。
「ダメです! 誰が迎えに来ても絶対に断ってください!
私もご主人も、待っているんですから。約束ですよ!」

けれどもU子さんは、5度目の肝臓ガンの手術から戻ってこられなかった。
U子さんが亡くなって2週間たった今日、ご主人のサービスで訪問させていただいた。
リビングには小さな祭壇が作られ、笑顔の遺影が飾られ、それはたくさんの花と供物に囲まれていた。
「今朝6時45分にね、嫁さんが起こしてくれたんだよ『今日はかずよんさんと病院へ行く日よ。早く起きなさい』って」
このへんに居るんだよね。と、ご主人は見えない目を凝らすように周りを見渡す。

6月上旬に訪問した時には、私に筍の煮物を出してくださった。
私は生の筍を煮たものが大好きなの。
今年はいい筍がたくさん手に入って、幸せだわ。毎日食べているのよ。
土気色の顔をほころばせて、本当に嬉しそうだったU子さん。
この人ったら、結婚してたった3年で糖尿病を発症したのよ。
それから40年、ずっと栄養管理を私がやっているっていうのに、ちっとも言うことを聞かないの。
こっそり隠れて甘いものも食べちゃうし、揚げ物や肉が好きだし。
でも、筍は繊維質が豊富でカロリーが低くていいでしょ?
飽きるまで食べさせちゃうわ。
いたずらっぽく笑っていらしたU子さん。

ご主人は貴女が亡くなってから食欲が落ちて、体重が2キロ減ったんですよ。
そのおかげで血糖値もヘモグロビンの数値も今日は良かったです。
でもね、そんなの嬉しくない。
帰ってきていただきたかった。
「本当にこの人ったら、私がいないとダメなんだから」
そう言いながらお弁当を持たせてほしかった。
肉が食べたいとか、寿司が食べたいとかいいながら、ご主人は貴女の作るお漬物が大好きでした。
ちゃんと砂糖を控えたカボチャの煮物も、お弁当に入っていると喜んでいました。
健康を気遣った黒酢ドリンクも、ちゃんと飲んでいたじゃありませんか。

こみ上げる思いをぐっとガマンして、祭壇に一礼して通院介助に行ってきた。
もう主治医の診察結果を伝える相手はU子さんじゃない。
私は娘さんに向けて診察記録を書いた。

やすらかに眠ってください。
ご冥福をお祈りします














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