◆真昼の月◆

ヘルパーのお仕事、職人仕込みのレシピなどを綴ります。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
調理介助といっても、利用者さんによっていろいろだ。
献立を指定されて「○○を作ってね」と言われることもあれば、
「冷蔵庫にあるもので、何か作って」と言う人もいる。

T田さんのお宅は、週末に来る娘さんが、
真空パックで湯煎にかければ食べられるものや、
市販のお惣菜を買っておいてくださり、
暖めて配膳するのがヘルパーの仕事となっている。

昨日訪問すると、いつもはデイサービスにお出かけになっている奥さまがいらした。
風邪ぎみで、デイはキャンセルしたのだそうだ。
今でこそ、デイサービスにいけるまでに回復した奥さまだが、
サービスが開始された頃には、ほぼ寝たきりだった。
「頼むから食べてくれ」
ご主人が、食事のたびに拝むようにしていたのを思い出す。
その頃調理介助に入っていた私は、娘さんが用意したものを、
どうやったら食べてもらえるかに苦慮していた。
好物を聞いて、娘さんにリクエストのメモを書いたり、
やわらかく煮なおしてみたり、あんかけにアレンジしたりしたが、
どれも効果はイマイチだった。

ひな祭りの日、娘さんが用意してあったのは瓶入りの五目寿司の元。
これをプラスチックのお弁当箱に入れ、錦糸玉子を焼いて細く刻んでふりかけ、
玄関脇に咲いていた梅の花の枝を一輪、いただいて添えた。
これを、奥さまはとても喜んだのだ。
「まあ、お花見弁当みたいね」
いつもはお粥1杯がなかなか食べられなかったのに、
お茶碗に1膳、きれいに召し上がった。
そうか。見た目で食欲が湧くのか。
それから、他のヘルパーにも連絡をして、あしらいを付けることにした。
お庭の笹の葉。小菊の葉や花。あじさい。山椒の葉。
大きめの器に天盛りにすると、量が少なく見えるのか、よく食べてもらえた。
お惣菜は少しずつ、田の字にして小さなお重箱に盛り付けると、
「お料理屋さんの松花堂弁当みたいだわ」と目を細める。
食べられるようになって、奥さまの体力はどんどん回復した。
今では手引き歩行と歩行器を使って歩き、デイにも行っているというわけだ。

ご主人のための調理介助であっても、もちろん奥さまも召し上がるだろう。
娘さんが用意してあった食材はナス。
これは奥さまの好物だ。
「焼きナスにしてね」と言われて、IHクッキングヒーターのグリルで焼く。
四角い平皿に、お庭の赤いナンテンの葉を敷き、
皮をむいた焼きナス、おろし生姜を置き、鰹節をふりかける。
しっかり食べて、早く風邪を治してくださいね。
ご夫婦そろって、にこにこと微笑みながら台所にいらっしゃる風景は、
とても幸せを感じさせてくれる。
これからもお元気で、美味しく食べていただきたい。

T田さん92歳。奥さまは90歳。
盛り付けと配膳も、大切な調理介助です。














管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://tukiakarinoheya.blog65.fc2.com/tb.php/209-35e8f92a

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。